朝白屋日記 天然石・シルバーアクセサリー製作

アクセサリーの製作過程や日常の事を徒然なるままに

鋳巣の原因を考える

寒いっすね~、鹿児島でも昼間は大して気温が上がらずにおまけに風が強くて非常に寒かったです。基本原付移動の身としては明日の出勤が思いやられますな・・・

 

さて、ロストワックス法の鋳造にはいろいろな失敗がつきものです、その中でも出来栄えに大きく影響を与えるのが鋳巣ですね。

鋳巣とは鋳造した物にできる穴のことで、見た目が悪いだけではなく、強度にも大きく影響します。

表面にでる巣はわかりやすいですが、内部にできた巣は見た目では判断できないので、使用しているうちに折れてしまう可能性があります。

 

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 ・矢印の部分のへこみが鋳巣

 

 ここで鋳巣の原因を考えるために鋳造方法を説明します。

まずワックスで原型をつくります

円錐台という土台に金属が流れる道となるスプルーを立て原型を植立します。

金属製のリングで覆い石膏を流し込みます。青い部分がワックスで作った原型です。

                 

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原型の周りを石膏で取り囲みます

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石膏が固まったら円錐台を外し鋳造する金属の融点にあった温度に

設定した炉に入れる。すると原型とスプルーワックスが高温で蒸発し空洞となり石膏の型ができる。

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 そこへ融解した金属を流し込み、冷却する。

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石膏を割り出すとワックス原型が金属へと置き換わる。

 

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以上が鋳造の過程です。

 

 

これを踏まえて鋳巣の原因ですが、それはずばりワックスの厚さです。

金属を鋳造する際は融解し液体となった金属を鋳型に流し込みます。多くの金属は液体から固体に変わる際に体積が減少します。その体積の減少が収縮という形であらわれるのです。これは金属が固まる際の収縮なので凝固収縮といわれます。この凝固収縮こそ、巣の原因です。固まる際に起きた収縮が穴となってあらわれます。

凝固収縮は最終凝固点に端的に表れます。最終凝固点とは溶けた金属が一番最後に固まる部分、言い換えると一番最後まで熱を持っている部分、すなわち最も厚みのある部分です。

 

これは原型をつくるときに極端に厚い部分を作らないようすれば解決です。デザイン的に厚さが落とせないなら、中抜きをしましょう。

厚いと地金代もかかりますし、巣も入りやすいので良いことはありません。

また、スプルーを付ける部分も厚くなりやすいです。

             

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図の様に印台タイプの指輪の場合、スプルーを付ける場所で大きく厚みに差が出てきます。鋳造を依頼する際に薄い所にスプルーを立ててもらう様に依頼するといいですね。

 

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原型を作る際に少しだけ注意をするとよりよい物ができるようになります。

 

 

 

 

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ワックスでリング原型をつくる②

さて、前回はワックスで原型をつくりました。

 

その原型を鋳造したものがこれ。

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いいねぇ、ピッカピカですなぁ、SV925でキャストしました。金属の重みがテンションあげますな。

 

 

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ところで出来上がったものをよく見てみると矢印部分に原型の時はなかった突起ができています。これは湯道と言って鋳造の際に金属が流れる道の残りです。

ちなみに、溶けた金属の事を「湯」と言い、「湯」が通る「道」だから「湯道」と

いいます。まずはこれをヤスリかリューターで削って原型と同じ状態に戻します。

 

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石をはめてみるとワックスの時は石座にぴったりと収まっていた石が入らなくなっています。鋳造は必ず収縮を伴います。どれくらい収縮するかは作る物の大きさによって異なるのでその都度修正しないといけません。石座か石、どちらか削りやすい方を選んでぴったりと収まるようにします。

 

この後の工程で写真撮り忘れたんですが…

金属部分をサンドペーパー#400から#1500までをつかって全体を研磨していきます。全ての面に均等に当てていきます。

そのあとシルバーポリッシャーをつかって艶を出します。クロスを使って手で磨くか、バフを使ってもいいでしょう。

 

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研磨が終わったら石留めです。

シルバー部分が研磨されて鏡面になってますな。金属を加工する人はこの鏡面はたまらないっすよねぇ、顔が映るくらいぺっかぺかになった金属は興奮しますな。

今回の石留めは覆輪留めという方法です。

石とリングに少し隙間があるのが見えるでしょうか。

この隙間分リングを石側に倒して石を固定する方法です。

 

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石を倒すにはこのタガネという道具を使います。大きさ、形状がいくつもあるので自分に合ったものを選んでください。また、先端は自分で欲しい形に加工する必要もあると思います。

 

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タガネを倒したいリング部分に当て、ハンマーで叩きます。

この時にタガネが滑って石を叩かないように注意が必要です。

また、リング部分を叩きすぎても石が割れる事があるので様子を見ながら適度な力を加えましょう。

 

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がんがんごんごん叩く事数分、リングと石の隙間がなくなりましたね。

この状態だと石ががっちり固定されています。

ただ、タガネで叩いたせいでリングのふちがガタガタになってしまったので再度研磨しなおします。

 

 

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 かんせ~い!

と、まあこんな感じです。リングだけじゃなくネックレスやピアスなんかもロストワックスで作れるので、ぜひやってみてください!けっこうかんたんだよ!

 

 

今回紹介したフローライトのリング他、朝白屋のアクセサリーはこちらでお買い求めいただけます。

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ワックスでリング原型をつくる

朝白屋ではロストワックス法でアクセサリーをつくっています。

ロストワックス法を簡単に説明するとワックスと言われる蝋で原型をつくってそれを鋳造して蝋を金属に置き換えるやり方です。

このへんはまた改めて説明したいと思います。

 

 

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このフローライトのリングを例に実際工程をご紹介。

フローライトはタンブルから形を整え研磨したものです。

リング部分はsv925、スターリングシルバーと言われるものです。

 

 

このリングの原材料がこちら、石とチューブワックス。

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チューブワックスはこの形で売られてるのでリングをつくる時にとても便利。

 

 

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 ワックスの平らな部分に石の入るくぼみ(石座)をつくるので位置を確認して外形に沿って痕をつけます。

 

 

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丸い部分が石の大きさに合わせた痕。

 

 

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それから縦横に中心線をけがきます。

 中心線は全体のバランスをとるためにとても大事です。

 

 

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 リング部分の幅を絞る。のこぎりを使うと早いです。

 

 

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ワックスリーマー。リングサイズを広げる時に使います。

綺麗な円でワックスが削れるので便利。

 

 

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 サイズ確認、隠れてるけどこれで10号サイズ。

 

 

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石座を掘る、これはリューターでもスパチュラでもなんでも使いやすい道具で。

注意点は石座の淵はガタガタにならないようにすること、ここがきたないと

完成した時の見た目がかなり悪くなります。

真中は貫通させてます。貫通させることで石を外しやすくしたり、地金量を調整したりできます。あとは透明度の高い石の場合は光を通すのでここを抜くとキラキラして綺麗です。

 

 

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石をいれて確認。石に対して淵が少し高いのでやすりで落として調整。

鋳造すると全体的にサイズが小さくなります。

なのでここで石と石座をぴったりにしてしまうと金属になった時に石がはまらなくなり、石か金属を削らないといけません。それが面倒なら石座をわずかに大きくしておくと良いです。

 

 

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ガンガン削って形を整える。

 

 

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もっと削ってもっと整える。

 

 

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完成!

途中経過を撮り忘れました…

リングサイドの幅が大きくなりそうだったのでくり抜いて地金量とデザインを調整。

グレーの部分は融点の低いワックスです。削りすぎてしまったので追加して調整。

ワックスはやり直しが何度もできるので扱いやすいです。

 

これを金属するのですが、長くなったので続きは次回!!

 

 

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はじめまして朝白屋です。

初めまして、朝白屋です。

天然石を使ったアクセサリーを作ってます。

 

 

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フローライトのリング

 

 

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フローライトのアンティーク調ネックレス

 

 

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ブルーゴールドストーンのリング

 

 

 

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ホワイトシェルのリング

 

こんな感じの作品をBASEにて販売しています。

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これから製作の方法や色々な事を綴っていきたいと思います。

よろしくおねがいしま~す!